電磁気装置アリオレスの原理と働き
電磁気装置アリオレスは薬品等の化学的反応ではなく、磁気と電気の作用を用いて配管に固着するスケールの溶解剥離効果をもたらします。
管壁に固着したスケールを電気的作用により軟化、溶解させ、電気誘導により発生した力がスケールを剥離、分散する方向に作用し、
付着したスケールを着実に剥離していきます。 更に付着しようとするスケールも効果的に防止します。

上図はアリオレスの動作原理を電流と磁界の関係から図解したものです。
アリオレスの磁界部を配管部分に装着すると、磁石(N極・S極)間に磁力線 B が発生します。
磁力線 B の中を流体が通過するとローレンツ力 F が発生します。(ファラデーの法則)
この電磁誘導作用によって生じた力がローレンツ力(F=qBV)です。
スケールの剥離効果をもたらす、ローレンツ力(F=qBV)は磁力線 B により作用した場合、
ローレンツ力 F はスケールを剥離する様に(配管内壁に沿った方向に)力が働くのでスケールが容易に剥離されてゆきます。
更に、一般の配管内に流れる水は電解質となるのでこの水溶液(H2O)の一部は H2O→H++OH−に電離します。
ここで H+ と配管の Fe2+ とのイオン化傾向の差は Fe2+ > H+ となるので電流 I は配管内壁の方向へと流れるため、
電流 I は配管内壁と、スケールの間に沿って流れて行きます。
この電流によりスケールは徐々に電気分解されて配管から剥離されてゆきます。
それに加えて、配管にアース線が設置されているので、このアース線により配管に直流電流が流れ、同時に管の内壁に流体が流れるので、
内壁の方が電気抵抗が小さくなるため、この電流もスケールと配管の間に沿って流れて行きます。
この電流もスケールの電気分解を増長させ、スケールの剥離が更に加速的に増加して行きます。
この様に、アリオレスの特色は磁界による ローレンツ力 F と内部電流及びアース線から配管内部に流れる電流による相乗効果により、
一層の剥離効果が促進されます。
塩ビライニング鋼管・ビニール管等に対する効果について
塩ビ管やポリエチレン管など、樹脂製の配管材は配管用鋼管(SGP管)・ステンレス管等の金属管とは異なり、電気を通さない絶縁体です。又、給水配管材には、腐食防止の為 配管材内部に塩ビやポリエチレンにて内張りをしている配管材がありますが、
これらライニング鋼管は配管材の外側(鋼管部分)に微弱電流を流しても配管材内壁は内側に絶縁体を貼ってあるため、樹脂管同様、
直接微弱電流は通りません。
又、塩化ビニール管に装着の場合も、配管材の外側に金属製のスチールバンドを取付、その上より装着しますので、同じように配管内部には
直接微弱電流は通りませんがアンペールの法則が働くため金属材の配管同様の電磁気の効果が得られます。

※(アンペールの法則)
上図の様に配管材の外側に流れている 微弱電流 により電流の周りには磁力が発生します。
磁力線は電流と異なり、樹脂等の絶縁体を通過します。 この磁力は配管内壁に沿って、流体の流れに対して直角の方向に形成されます。
外部を流れる微弱電流によって発生した磁力と磁界部で流体を直交に横切る時に発生した磁力によって、流体と同じ方向に電流が誘導されます。
これが電磁誘導作用です。
この電磁誘導作用により、結果的に絶縁体である、内面被覆材の内壁に沿って微弱電流が流れる事となります。
この双方の微弱電流の効果により、配管用鋼管(SGP管)・ステンレス管等と同様の相乗効果をもたらします。

アリオレス装着による固着スケールの溶解・剥離について
アリオレス装着によって配管系電界磁界の相乗効果によって流体と配管内壁に電気的な作用を及ぼす原理を前章にて説明しましたが、ここではいかにして電気的な作用が固着スケールの溶解・剥離と防止効果を発揮するのか。その働きを説明します。
配管系統の固着スケール障害の主要な原因となるものは、水の中に含まれるシリカ(珪酸)(SiO2)炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、
そして鉄製配管の場合は溶存酸素による、錆・腐蝕があります。
A)シリカスケール
シリカSiO2は、珪素(シリコン)と酸素が化合した物質です。
ナトリウムやカルシウム等の塩基と結び付きやすい性質を持っており、シリカだけの大きく成長した単結晶は、一般に水晶や石英と呼ばれます。
水の中ではシリカの大部分がコロイド粒子という、沈殿を起こさない大きさの微粒子として溶け込んでいます。
このシリカがカルシウム等の塩基を取り込み、配管の内壁や機器の内側等で析出すると非常に硬いスケールが固着した状態となります。
シリカの結晶は圧電(ピエゾ)効果を起こす物質として知られています。圧電(ピエゾ)効果とは、電界を掛けることによって、結晶構造が変位して
結晶が歪みを起こす効果のことです。また逆に、結晶に力を加えて歪ませることにより、電気が発生します。
この様な性質を持っている物質は圧電素子として利用され、特に水晶は時計の発振子として良く知られています。

又、硬く固着したスケールは、微細な結晶が集まった多結晶構造をしています。
アリオレスの装着により電磁気的な作用を受けると、配管内壁に固着したスケールの結晶は、それぞれ結晶方向や大きさ、形状の異なった多結晶構造をしているので、個々の結晶が別々に変位して歪み、結晶同士の結合が弱くなり凝集力が減少する為、スケールの剥離や拡散、軟化が進行します。

また、電気的な水の作用によって、スケール表面のシリカSiO2の一部が水と反応することによって珪酸イオンSiO32-に変化して
水中に溶けてゆく為、スケールの溶解、軟化を進行させます。
SiO2+H2O→H2SiO3
シリカ 水 珪酸(水に可溶)
B)鉄錆によるスケール
現在、給水管には硬質塩化ビニールライニング鋼管、ステンレス鋼鋼管、給湯管には銅管、ステンレス鋼鋼管、耐熱性硬質塩化ビニールライニング鋼管が使用されるようになりましたが、依然として冷却水、冷温水配管等には亜鉛めっき鋼管が一般的に多用されています。また、配管内面を樹脂で覆ったライニング鋼管も、配管接続部でしばしば発生するライニングの不良や破損によって、赤水及び錆瘤の障害が発生します。
鉄(Fe)は水(H2O)と酸素(O2)が共存すると、反応してさびを生成します。
水中の鉄の腐食反応を化学式で次式に表します。
2Fe+2H2O+O2→2Fe(OH) 2 (1)
酸化第一鉄 Fe(OH)2は最初にできるさびですが、この段階ではさびはまだ赤くはなく不安定であり、酸素に接する(水中では水に溶けている酸素)
ことによってただちに酸化され、水酸化第二鉄 Fe(OH)3となり、赤いさびとなる。さらに水分が取れるとオキシ水酸化鉄(FeOOH)となる。
これがいわゆる赤さびであり、水酸化第一鉄から水酸化第二鉄への変化は次式となります。
4Fe(HO) 2 +2H2O+O2 →4Fe(OH) 3 =4FeOOH・H2O (2)
オキシ水酸化鉄(FeOOH)はあまり聞き慣れない名称ですが、これは水と結合した酸化鉄で管壁に固着すると酸化鉄Fe2O3(ヘマタイト・硬質の赤錆)に なることが、次式(3)により確認できます。
2FeOOH→Fe2O3・H2O(3)
酸化鉄Fe2O3(ヘマタイト)自体は安定した性質ですが、ポーラス(多孔質)で水を含むため、周りの鉄に酸化が集中して腐蝕の進行が
大幅に促進されます。
この状態を放置したままにしておくと、やがて錆瘤の成長による管の閉塞と管壁の減肉によりピンホールからの漏水が発生することになります。
アリオレスを鉄管に装着すると配管内部に及ぼす電気的作用によって、赤錆が部分的に還元され、
黒錆(マグネタイト)へと次の反応式のように変化して行きます。
副次的に、水あかの膨潤と剥離をもたらす蒸発ガスが発生し、発生したガスは水へ溶け込みます。

マグネタイトは一般に黒錆と呼ばれる四三酸化鉄で、非常に硬く密度の高い、強磁性の物質です。
水や酸に溶解しない不動態と呼ばれる性質の為、配管内表面において防錆被膜の役割を果たします。
また、新管等赤錆の無い状況では、次式による反応によりマグネタイトが生成されます。
さらに、赤錆から黒錆へ変化すると共に、結晶構造が変わる為、赤錆の分散・剥離が促進されます。
3Fe(OH−)2→Fe3O4+2H2O+H2 (Schikorr反応)
シッコール反応:水酸化第一鉄は、次第に分解して、マグネタイトが生成すると同時に水素*と水を発生する。
水の中に含まれているカルシウムは水中に溶けている二酸化炭素と結びついて炭酸カルシウムとなります。
この物質は難溶性で水中から結晶化して析出します。
炭酸カルシウムの結晶は斜方晶系の針状結晶であるアルゴナイトと六方晶系のカルサイトの2種類*があります。
固着スケール障害の場合は機器・配管の内壁面に針状結晶のアルゴナイトが析出し、これが成長することによって、硬質のスケールが
固着してゆきます。 これはアルゴナイトがカルサイトより硬く、放射状に析出するため配管内壁表面の微細な凹凸に嵌り込み
アンカー効果※ によって固着する力が強くなります。
アリオレスを装着し、電気磁気の作用を配管に及ぼすことにより針状結晶のアルゴナイトが六方結晶のカルサイトへと変化します。
結晶の形状変化と表面積の減少によりスケールの凝集力が弱くなりスケールの溶解・剥離、軟化が進みます。
